神様の愛する神様

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「……そうか」 時雨は安堵の溜め息を吐く。私はそんな時雨を見て、笑顔を溢す。 そして、暫く二人の間に沈黙が流れる。私も時雨も、真夜中に怪しく輝く月を見上げている。 「時雨……」 「何だ?」 先に沈黙を破ったのは私。 この空気が嫌だったとか、耐えきれなかったとかそう言う訳では無い。ただ、ふと聞いてみたいと思ったのだ。 「時雨は、“絆”は彼らと一緒で“永遠のモノ”だと思っている?」 「っえ?」 あまりにも突然過ぎたのか、時雨は目を見開く。私は裸足のまま縁側から降り、近くに咲いている椿の花を一輪抜き取る。 それを時雨に差し出すと、反射的になのか時雨は何の躊躇無く、私からそれを受け取る。 「時雨、答えて」 私は時雨を見上げながら、時雨に答えを促す。
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