神様の愛する神様

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だってそれが“普通”でしょう? 神様だからとか、絆で結ばれているからとか、だからなんだって分かる何てただの偏見だ。 私たち団体の過去は憶えていても、個人の過去はその人しか分からない。 「閖は何故、閑を“俺たち”が嫌っているのか、知っているのか?」 「うん、知ってるよ。だって私たちは小さい頃からずっと一緒に居たんだもん。閑の事は、なんだって分かる」 私の回答に少しだけ、時雨の表情に寂しさが浮かぶ。 彼らにとって、私の言葉は至福にもなるし、残酷なモノにもなる。 私もそんな事知っている。 産まれる前から、それが定めなのだと言われ続けていた。自分ではない自我に。 「時雨……君の中にもあるのだろうか?」 「……何がだ?」 意味深な私の言葉に時雨は気になったのか、尋ねて来る。真っ直ぐに、その瞳に私だけを映して。
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