神様の愛する神様

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「君は優しい……とても。他の神と違って、閑を敵視しないし、閑に対して酷い事を言わない。だから……そんな君だから、私は確かめたいんだ」 「閖?」 なかなか本題に入ろうとしない私を心配して、時雨は話し掛けて来る。 「閑に対して、自分じゃない自我が囁いて来ない?そして、その自我の持っている感情は他の人には言え無い様な、とてもどす黒くない?」 「――っ」 時雨は困り果てた表情に、覆い被せられてしまう。そしてそんな彼を見て、私は思ったんだ…… “あぁ、やっぱりな”って。 私は真っ黒な素足のまま縁側に上がり、返答に困っている時雨の頬に、私は自分の手をそっと添えた。 「時雨、今のは答えなくて良いんだ。良いんだよ?ごめんね?」 彼の瞳の奥に渦巻いていた黒い靄は退かれ、元の綺麗な金色の瞳に戻った。 そして時雨は、頬に添えられている私の手を大事そうに握る。
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