神様の愛する神様

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でも、納得していないからって言って、此処で閑を庇う言動を私がしてしまったら、それこそ捻れてしまう。 私はただ黙っている事しか出来ない。 暫くは重い空気が流れていた。そんなに時間は経っていない筈なのに、なんだかとても長く感じた。 「閑、ありがとう。もう大分落ち着いたよ」 私は結局、場の空気に堪えられなくて、口を開いてしまう。閑は私のその言葉を聞くと優しく微笑んで頷く。 「里久も、こんな時間にごめんね?」 「っえ?あ、あぁ……いえ」 突然私に話を掛けられて困ったのか、困惑した顔付きで私の声に反応する。 でも、彼の表情は困惑していても閑に向けていた表情とは違っていた。 閑はそれに気付いていても、気付かない振りをする。その真意は私には分からない。 ……私は分からない事だらけだよ。 「それじゃぁね!!」 そう私は言い残すと、暗闇に紛れて姿を消す。 ……その後の事なんて気にもせず。
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