神様の愛する神様

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「お前なんかの手の届かない世界で、僕たちは繋がっているっ!!」 「その思考が、彼女を傷付けている事を何故分からない!!」 「っ!?」 閑の怒鳴り声に里久は後退る。閑が怒鳴るなんて滅多に無いから、里久は混乱しているのだ。 閑の眼差しは真剣そのものだった。 「兄さんには分からないさっ。僕らは“それ”を当たり前にして来た!!それをいきなり、手放せと言われたって無理に決まってる!!」 里久は震える声を荒げて、そのまま言葉を紡ぐ。 「兄さんには分からない……彼女をこんなにも“愛しい”と思う、僕らの気持ちなんか」 里久はバツが悪そうな表情を浮かべると、家の中へ閑一人を残して入って行ってしまった。 閑は一人、数多の小さな光を放つ星を見ながら、里久の言った言葉を思い返してみる。 “彼女をこんなにも“愛しい”と思う僕らの気持ちなんか” 「分かるよ……分かるさ。その気持ちは」 小さく囁くようにして呟く閑。
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