釣られたサカナ。

41/47
前へ
/687ページ
次へ
やがて、あたしん家から通りに面したところにあるあの電信柱の下、その指定場所に、ジロちゃんは車を滑り込ませ、停車した。 あーあ。 着いちゃったよ…。 この悶々とした気持ち… どーすりゃいいの? 「着いたぞ。…どした?」 「…うん。ジロちゃん」 頭の中を渦巻いてるガキっぽい苛立ちが、次にはあたしにそれを言わせていた。 「…チューして」 こっちに身体を向けてジロちゃんが見つめてきた。 少し苦そうで、だけど確かな甘さも含んだ、艶やかな笑顔で、あたしの胸はドキッとした。
/687ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12537人が本棚に入れています
本棚に追加