釣られたサカナ。

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それを合図みたいにスウっと顔を離そうとしたジロちゃんの耳に、食い下がるみたいに急いで囁いた。 「…触って」 「…」 「…む、胸、さ・・・わってください」 「…」 かアッと熱くなる、全身。 緊張と、羞恥とで、眉毛がヒクヒクしてるのが分かる。 あたし今、多分、尋常じゃないガツガツ女になってる。 ジロちゃんだって多分、ドン引きなんだろな。 でも、それでもいいんだって思っちゃうほどに、あたしは追いつめられてた。 「…ワルイ子。」 少し咎めるような、けれど悪戯めいた低い声が、反対側の耳に落とされて。
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