カシャク ~Side Jiro~

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珍しく清原から飲みの誘いが来たのは8月入ってすぐの水曜だった。 前に飲んだのいつだっけか… あーそうだ。 たしか兄貴とみゆが入籍した翌日位、だったかな… ガシガシと頭を掻いて冷蔵庫横のカレンダーを睨みながら、それが別段どうでもいい思案だって事に気づいた俺は、すぐに鼻に抜ける笑みへと変えた。 清原からのメールによれば、 いつもの大衆酒場でなく、都心近くのショッピングモールの屋上ビアガーデンにするとある。 無論、うだるような夏の夜にそういう場所で、キンキンに冷えたビールを飲むのも嫌いではなかったから、俺は快諾の返信を出した。 …んだが。
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