カシャク ~Side Jiro~

4/36
前へ
/687ページ
次へ
着ていたティーシャツを脱ぎ払いブルーのタータンチェック柄のシーツの上に、造作なく仰向けに転がった。 しばらく所在無く天井を見てから、おもむろにごろりとうつぶせに、枕に顔を埋める。 と。 未だ微かに香ってくる、俺のではない、花の様に芳しくて、ミルクみたいな甘ったるい、匂い。 「…」 図らずも綻んでしまう、口元。 やっべ。 最近じゃ毎晩、これだよ。 呆れ気味にそう思い巡らすも、堪えきれず枕をきつく抱きしめてしまう。
/687ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12538人が本棚に入れています
本棚に追加