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奥の座敷に上がりこむと、バイトの山崎くんがおしぼりとお通しをさっと持ってきてくれる。
迅速に対応するのが、ここの売りだった。
「こんばんわ。ピーちゃん今日はいいカツオが入ってるよ。」
「じゃぁ、今日も適当におすすめでよろしく。すぐにまこさんたちも来るから。」
「了解。そっちのお兄さんは?なに飲む?」
山崎くんはメモ片手に、聴くと大将の怒鳴り声が響いてきた。
「こらっ、山崎。ピーちゃんとこは全員揃ってからだ。さっさとこっちに戻って来い!」
「うへぇ。じゃ、また後でね。」
変な奇声を発して、山崎さんは大将のところへ戻っていった。
ここは、大将の趣味でやっているようなお店で、から揚げと新鮮な魚が売りだ。お鮨も握ってくれる。なのにリーズナブルでお財布に優しいのだ。
「さっきからピーちゃんって、桃のこと?」
「まこさん達がそう呼ぶから定着しちゃったんだよ。」
桃だから、最初はピーチだ可愛いとか言っていたくせに、途中から面倒臭くなってピーになってしまったのだ。全国の桃ちゃんに失礼なあだ名だと思うんだけど。
「ピーちゃんね。可愛いじゃん。」
「冬馬にかかればなんでも可愛いになるんでしょ。そうだ、好き嫌いは?変わってない?」
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