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「あ、はい。終わりましたけど……、それがどうかしましたか?」
「いやー、実はあたし、出来てなくてさ、見せてくれないかな?」
両手を合わせ、クラスメートの女子は頭を下げる。
その姿に、菊門寺さんはクスッと笑みを顔に浮かべると、自分の鞄から、一冊のノートを出し、そのクラスメートの女子に差し出す。
「どうぞ」
その言葉に、クラスメートの女子の顔は輝く。
「ありがとう! 菊門寺さん」
受け取ると、クラスメートの女子は自分の席に戻り、自分のノートを取り出して、写し始める。
「……?」
そんな時、俺の視線に気付いたのか、菊門寺さんがこちらを見た。
「……!」
目が合った。
俺はそのことに、何故か赤面し顔を背けた。
それでも、チラッと彼女の方を横目で見てみると、彼女は何故か俺の方を見て笑んでいた。
そんな時に、チャイムが鳴る。
学校が始まるチャイムだ。
俺たちは自分の席に座り、担任が来るのを待つ。
そんな時間の中、
「……」
菊門寺さんが、俺を見ていたのだが、そのことに、俺は気づけなかった。
それから時間が経ち、授業が全て終わり、放課後となった。
俺が鞄に教科書等々入れて、帰り支度をしていると、
「柘斗」
名前を呼ばれた。
その方向を向いてみると、そこには七海がいた。
「七海」
「あんた、これから部活?」
聞いていたので、俺は頷いた。
「まぁ、入ったばっかで何やるかまだ分かんないけどね。七海は? もう帰る?」
「帰れる訳ないでしょ? これのせいで」
ため息を吐きながら、七海は今朝、下駄箱に入っていた手紙……ラブレターを俺に見せてきた。
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