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その扉には“新聞部”と書かれていたプレートが貼り付いていた。
俺はその扉のドアノブを掴み、回して押す。すると、扉はキィと音を立てて開いた。
「こんにちはー」
挨拶をしながら入る。
「お、来たね。青柴君」
すると、すでにその部屋にいた人が、俺にそう言ってきた。
その方向を向くと、そこには薄紫色のセミロングの、赤ぶちメガネを掛けた少女がいた。
なかなかの美人さんだ。顔も整ってる。
「こんにちは、音原部長」
その少女に、俺が挨拶をすると、少女は「はい、こんにちは」と返してくれた。
彼女は音原春古(おとはらはるこ)。
俺が最近、入部した新聞部の部長だ。
入部してまだ日は浅いため、この人のことはまだよく分からない。
「さてさて。桜咲高等学校に入学して、一週間が経った訳だけど……、どうかな? 慣れたかな?」
音原部長の問いに、俺は首を横に振る。
「まだまだですね。最近、ようやく校舎がいくつあって、各何をするか分かっただけなんですから」
俺は肩に掛けていたエナメルバッグを近くの机に置き、空いてる椅子に座りながらそう答えた。
今言うべきかどうかは分からないが、一応、言っておこう。
ここ、桜咲高等学校には、三つの校舎がある。
一つ目は教室棟。主に授業を行う所だ。
二つ目は運動棟。広くて三階まであるため、室内の運動部はここで練習している。体育館も、ここにある。
そして、三つ目は文化棟。主に文化部の部室がある所だ。ここも三階まであり、様々な文化部の部室が存在している。また、俺と音原部長がいる部室がある校舎も、ここだ。
この三つの校舎は、一階、二階、三階にある渡り廊下で繋がっている。
俺は最近、それの存在を覚えたばっかなのだ。
「ふぅむ……。まぁ、一週間ならそんなもんか」
納得したように言うと、音原部長は座ってた椅子から立ち上がり、台所へ向かった(ちなみに、文化棟は各部室に台所が設置されており、コンロも設置されている)。
その隣に設置されているコンロに置かれたやかんを取る。
それから、小さな棚(20センチくらいの物。ちなみに、これは音原部長が自分で持ってきたらしい)からマグカップを一つ取った所で、俺の方を向いた。
「青柴君もココア飲むー? 飲むなら入れるよー」
聞いてきた。
「あ、はい。じゃあ、いただきます」
「了解」
俺の言葉にそう返すと、音原部長はマグカップをもう一つ取った。
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