出会い

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その声に振り向くと、そこには厳つい顔で、ガタイの大きい少年(?)がいた。 「あ、おはよ、シズ」 「……うむ」 俺が挨拶すると、彼は小さな声で頷いた。 彼の名前は、草原静矢(くさはらしずや)。 和馬同様、中学からの付き合いで親友。 今は制服を着ているから、分からないが、脱いだら、体のあちこちが筋肉で隆起している男子だ。 中学時代では、“筋骨隆々”の名前で通っており、学校の先輩もビビるほどだった。 ただ、厳つい顔で、声も小さいことから、常に機嫌が悪くて、ちょっとでも気に障ることしたら殴られるんじゃないかと思われがちだが、実はとっても気の利くいい人だ。 「……気軽に、俺のことは愛称で呼んでくれ」 と言ってきたので、俺たちは静矢から取り“シズ”と愛称で呼んでいる。 「……この賑やかさの原因は、またあの二人か」 そんなシズは、前でギャーギャー叫ぶ二人を見て、そう言う。 「あー……、うるさいかな? うるさいなら止めるよう、言うけど……」 言うが、シズは首を横に振る。 「……いい。俺は賑やかの方が好きだ」 言って、フッと微笑む。 「そっか」 前で叫ぶ二人を見ながら、僕は言う。 「……ああ。……それと、柘斗」 「ん?」 シズに呼ばれたので、俺は振り向く。 「……昨日、直した。受け取ってくれ」 そう言って、上着のポケットからシズが出したのは、赤い布で作られた、お守りだった。真ん中には、黄色い糸で“安全祈願”と縫われていた。 「もう直ったの!?」 それを受け取りながら聞くと、シズは頷いた。 「……俺を誰だと思っている?」 そう聞いてくるシズに、俺は笑う。 シズはこう見えて、裁縫関係の仕事をしている親の子供である。こんなガタイではあるが、裁縫は中学で同じだった俺らの中で、一番上手い。 「ありがとね、シズ」 俺はお礼を言う。 「……うむ」 シズは満足そうに頷いた。 それから俺の手にあるお守りを指差しながら、口を開く。 「……大事な物だろう? もう壊すなよ。……と言っても、壊れたら、俺がまた直すがな」 言って、シズはフッとまた微笑えんだ。 「うん。またその時が来たら、お願いするよ」 その笑顔に、今度は俺が頷く番だった。
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