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俺はシズからもらったお守りを制服のズボンのポケットにしまう。
「……。……あー、柘斗」
お守りが入ったポケットを見てから、俺の方を向き、シズが俺を呼んだ。
「なに? シズ」
「……そのお守りをくれたあいつはー」
言い掛けた時だった。
ガラッ
閉ざされていた教室の後ろのドアが開かれる音によって、遮られた。
シズと一緒にその開かれた扉の方を向くと、
「……」
見とれてしまうほどに、綺麗な少女がいた。
長く艶やかな黒い髪。
くりっとした大きな目。
俺たちが通う桜咲高等学校の、女子用の制服を着てるだけなのに、彼女が着ると、こうも見方が変わるのか。
「……」
その少女……、いや、美少女はそのまま教室に入ってくる。
今まで喋っていた男子は、皆黙り、その美少女の方を向く。……その中に、和馬もいたのは言うまでもない。
菊門寺夏蓮(きくもんじかれん)。
それが彼女の名前である。
何でも、菊門寺と言うお金持ちの家で産まれたお嬢様だとか。
それ以上のことは知らない。まだ入学して1ヶ月も経ってないし、彼女と会話したことは皆無なのだから。
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