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とりあえず教室に戻ってきたが藍川さんの表情は曇ったままだった。
「藍川さん大丈夫ですか?」
「………」
「……今日はもう帰り、」
言いかけたとき藍川さんはパッと顔をあげて笑顔で
「大丈夫だよ、先生!」
「でも、」
「さっきは急にだったからびっくりしちゃってさ!もーほんと雷ってやだよねー。あ、てかさ先生なんであんなに走って来てくれたの?」
「藍川さんが今日雷が苦手って言ってるのが聞こえたので。」
「そうだったの!?びっくりだね!」
藍川さんはいつも通りの笑顔だった。
でも俺はすぐわかった。
藍川さんの笑顔が嘘の笑顔だって。
さっきから藍川さんの手が震えていたから。
「藍川さん」
「でもね先生!彼女でもない女の子にそんな優しくしちゃだめだよ~!絶対にね。」
彼女の顔が一気に真剣になった。俺が黙っていると、また笑顔に戻り
「とくにわたしなんかね!弱いときに優しくされるとすぐおちるタイプだからさ~。」
「本当に大丈夫なんですね?」
「うん!」
「だったら今日はここまで解きましょう。」
「なんかさっきより増えてない!?」
「気のせいですよ。早く解かないとおいて帰りますよ。」
「わかりましたよ……」
そのあとは普通に戻った藍川さんを家まで送り、家に帰った。
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