水【奏】

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人は危険なものに美しさを感じるという。 例えば、鋭いナイフ 例えば、燃え盛る炎 しかし僕は、水に美しさを感じる。 透明できらきらして、私たちと共にある。 生命の象徴でもある。 だが、その美しい液体は人を死に至らしめるのだ。 一見無害そうに見えるが、あれほど豹変するものはない。 僕は、水が怖いのだ。 ゆったりと流れる川を美しいと思いながらも恐怖する 危険性を孕んだものほど心惹かれる ひょっとすると、人が海を愛するのも同じ理由かもしれない
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