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私の表情は沈んでいただろう。
「なんか……二人とも死んじゃうみたい」
「えーっ! マジ?」
しっかり読んだわけではないが、
何度読み返してみても、
どんでん返しなハッピーエンドは
ないようだ。
ざっと読んだ印象では……
お互いを想い合ったロミオとジュリエットは、いろんな事情で意思の疎通ができなくて、愛を貫いて死んでしまった、みたいな感じ。
千奈は、
首をかしげるだけだ。
それはそうだろう。
なぜあのとき、
ケイさんがこの本の話をしたのか、
千奈にはわからないのだから。
でも
私は……。
「それよりあんた、大丈夫?」
「え?」
「なんか顔、青白いよ?」
「……」
私は、気づきはじめていた。
なぜあのとき、ケイさんのことをあんなにも怖いと感じたのか。
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