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眠気と戦う5時間目の世界史。
となりから聞こえたヒソヒソ声に、下ろしかけていたまぶたを上げた。
「ミオ~。消しゴム貸してー」
「も~。はい」
差し出された友だちの手に、
私はひょいっと自分の消しゴムを置く。
せっかく貸してあげたのに、
返ってくる時には、
ニヤニヤのおまけつきだった。
「何これ、においつき消しゴム? なつかし~」
はいはい、どうせ子どもっぽいですよ。
好きなんだからいいじゃない。いちごの消しゴム。
「じゃあもう貸さない」
「え~っ、ウソウソ、ごめ~ん!」
「ふ~んだ」
そこに、教卓から怒声が飛んでくる。
「こら! 柳瀬(ヤナセ)! 牧原(マキハラ)! なにをしゃべってる!」
「ご、ごめんなさーい!」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
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