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(う…。…スイくん)
私は瞬間、胸がつまる。
「相変わらずアンニュイに外見てるね~。深窓の王子様」
「う、うん…」
3組の
早稲生 水(ワセオ スイ)
といえば、
2年生で知らない子はいないほどの有名人だ。
高嶺の花、というやつか。
いくら中学から知っているとはいえ、顔見知り程度。
こんな私が好きになる相手としては、理想が高すぎる。
それでも、好きなものは、どうしても…。
「おーい、わせおっち~」
「ええっ! あ…」
千奈が呼びながら大きく手を振ると、
スイくんも小さく手を振り返してくれた。
ちゃっかり私も手を振ってみる。
不意なことに心臓が暴れている。
カチカチになっている私に、千奈がケラケラ笑いながら抱きついた。
「あっははは。かわいーねえミオは」
千奈から犬のように頭をわしゃわしゃされて、
ようやく緊張がおさまる。
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