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「ねえ、お母さん」
翌日の夜になって、私は
お母さんに聞いてみることにした。
「ちょっと相談っていうか…知りたいことがあるんだけど」
すでに洗い物を終えて一息ついていたお母さんは、
お茶を片手にテレビの前に座り、
残業のお父さんを待っている。
「あら、なあに? あらたまって」
キョトンとした顔で、せんべいをかじっている。
「あのさ、うちの家系って……なんていうか……
昔から霊感とか高かったりする?」
「ひひひひ、あにほれ」
ボリボリいわせながら笑うから、変だ。
「何それ、変なテレビでも見たのあんた?」
「ちがくて! なんか……変なのが見えるとかそういうの!」
「さあ~? べつにあんた、小さいころからそんなそぶりなかったわよ? なんか見えるの?」
「そういうわけじゃ……ない…けど……」
お母さんはまた、
こんどはテレビの芸人さんのギャグで大笑いしてから、
言った。
「それにねえ、おかあさんは、ほら、いわゆるお嫁さんだから、この家の昔の人のこととかよく知らないのよ」
「そっか…」
「お父さんが帰ったら聞いてみたら? ま、少なくともおかあさんはそういう話、親戚からも聞いたことないけどね」
「……」
私の中で、
一日考えて行きついた、
ひとつの可能性。
『柳瀬の女』
という呼び方。
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