-ささやき-(1)

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スイくんの背中は窓の向こうへと消えた。 「う~ん……あいつ顔はキレイだと思うけどさ、無愛想だよね~。なんでみんなあんなのがいいんだか」 「そりゃあ…千奈は筋肉フェチだし…。もう、痛いってば」 もう四年くらい片思いなんだから、 我ながらけなげだなあと思う。 その日の放課後。 「おい、ミオ」 突然の声に、肩がビクッとあがった。 もう聞くだけでわかる。 ふりかえるとスイくんがいた。 「ス、スイくん」 「ミオ、ちょっといいか」 私たちの中学では、 みんな下の名前で呼ぶのが普通だったから、 高校でもそれが続いている。 こんなささやかなことだけど、他の子に比べて親しい気分になれるのが、 うれしかったりする。 背が高いスイくんは、低めな私の身長に合わせて 少しあごを下げて、しゃべりかけてきた。 「なあ、こんどの同窓会、おまえ行くか?」
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