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「ただいま……」
101号室のドアを開け、寂しさを紛らわせる。
テーブルを、居間の真ん中に置いて、買ってきたサンドイッチを食べ始める。
時刻は、6時55分。
学校に行くまで、まだ余裕がある。
サンドイッチを食べ終え、カーテンレールに架かっているYシャツを取り、Tシャツの上に羽織る。
ズボンを脱いで、傍らに脱ぎ捨ててあった制服のズボンを履く。
ここまでが、満のいつもとほぼ変わらない朝である。
一年近く、同じようなことを続けていると、それを機械的に出来るようになってしまう。
満は、ただボーッと学校へ行かなければならない時間が来るのを待った―――。
外で、鳥の鳴き声が聞こえたような気がした。
満は、はっと気がつき、時計へ目をやった。
7時59分。
「やっべ……!」
学校までは、自転車で15分ほどだが、今は修理中だ。
バスも電車も、学校の近くに駅が無いので、時間がかかる。
30分歩けば、学校に着くのだが、8時25分までに校門を通過しなければならない。
満は急いで学生カバンを持ち、家を飛び出した。
梅雨晴れの強い日差しが目にしみる。
夜の色をしたアスファルトを蹴って満は学校へと走った。
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