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「それでも彼女できたもんよ。お前はどうなんだ~?」
卓司がバカにしたように満に問う。
満は何も言えずにうつむく。
「へへっ。やっぱり居ないんじゃないか~。一人くらい紹介してやってもいいぜ?」
卓司は、まるで女性なのではないかというくらいの容姿、声を持つ。
もちろん、年頃の女子たちはそんな男子を放って置くわけがなく、つい最近彼女ができ、晴れてリア充――つまり、現実の生活が充実した人たちの仲間入りとなった。
「うるさいなっ!だから余計なお世話だって言ってるじゃないかっ!」
満はムキになって、卓司に怒鳴り散らす。
彼は元々温厚な性格なのだが、こういう話になると、途端に気性が荒くなる。
「おいおい~。そんな怒るなよ~」
卓司が笑いながら満をなだめる。
「えぇい!バカにしやがっ………て」
最初こそ、先ほどと変わらぬ声の大きさで怒鳴っていたが、徐々に声が小さくなっていく。
「何だ?どうしたんだよ。急に」
卓司が、少し訝しげに満の顔を覗きこむ。
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