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満の視線の先には、彼らの向かい側の道を歩いてる、ポニーテールの少女がいた。
「あれ……。確か、俺らと同じクラスのやつだよな……?えっと、何だっけな……」
卓司が腕を組み、何かを思い出そうとしている。
「常盤(ときわ)……さん……」
満がぼそりと呟く。
彼の視線は、ポニーテールの少女に注がれたままでいる。
「あ、そうそう……常盤明日香(あすか)……。え、満、何で知ってんだ?」
腕を組んだまま、目を見開いて満を見る。
卓司にとって、満が同じクラスの女子の名前を知っていることは意外だった。
「え……。だって、あれだ。その……うん。何か、知ってた」
満が、しどろもどろに答える。
目線が行き場をなくし、泳いでいる。
「ほぉ~っ!満も大人になったなぁ!」
卓司が嬉しそうに、かつ、バカにしたように言い、商店街の出口向けて走り出す。
「なっ……!バカ!!そんなんじゃないよ!」
満は顔を赤くして卓司を追いかける。
既に、常盤明日香の姿は二人のいる商店街の路上から居なくなっていたが、時間も夕方近く、ちらほらと買い物客が商店街を歩き始めている。
二人は商店街を抜け、そのまま走ってそれぞれの家へと向かった。
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