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満は、全身にまとわりつくような暑さを感じて、目を覚ました。
寝起きのぼんやりした頭を持ち上げ、壁掛け時計を見ると、針は午前5時をさしていた。
「なんだ……。ずっと寝てたのか……」
満が学校から帰って来たのは、午後4時半ごろ。
だいぶ長い間寝ていたお陰で、背中が棒のようにまっすぐになって、ひどく動きづらい。
ゆらと立ち上がり、電気をつけると、豪快に水を被ったようにTシャツが汗で濡れていた。
まだ7月の初旬だが、ほぼ毎日熱帯夜で、寝苦しい夜が続いている。
着ている衣服を全て脱ぎ、小さい風呂場へ入る。
サッと汗を流し、満が風呂場から出ると、時刻は午前5時半になっていた。
「腹減ったな……」
体を拭きながら、そう呟く。
昨日は夕食を食べていない、そう思うと、余計に空腹感が増したように思えた。
冷蔵庫の中を覗いて見るが、空腹を満たせるような物は何もない。
あったのは、腐って泥のようになっている何か。
それしか入っていなかった。
押し入れから自分の私服を引っ張り出し、着替えを済ませた。
玄関へ向かい、昨日のまま置いてあった学生カバンの中から財布を取りだし、ズボンのポケットへ押し込む。
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