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ドアを開け、ふと見上げると、空は水色の絵の具を薄めたような色をしている。
「似合わないね……」
そう呟き、空を睨み付ける。
こんな綺麗な空は、自分には相応しくない。
そう思い、満はふと考えた。
昨日のような幸せ者たちならば、このような綺麗な空はお似合いだろう、と。
満は、悔しいような悲しいような気になって、すぐにその考えを霧散させた。
アパートを出て、近所のコンビニへ向かう。
空気も嫌なくらい澄んでいて、息がしにくいように感じた。
誰も居ない路地をただ歩く。
曲がり角の手前で、満は足を止めた。
一つため息をつく。
そして、また歩き出し、曲がり角を曲がる。
曲がったところで、異性とぶつかる―――そんな少女漫画のようなことがあるわけもなく、満は苦笑した。
そんなことを考えていた自分が、情けないと思った。
コンビニへ入り、眠そうな店員をちらと見る。
店員は満に気づいたようで、「いらっしゃませ……」と、元気なく言う。
―――サンドイッチとおにぎりを買って、コンビニから出る。
先程より青みが増して、より一層綺麗な色になった空を仰ぎ、満は、自宅へと向かった。
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