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1 再会
昔からそうだった。
男と女の何たるかを知らない頃からまとわり付くのは、嫌悪を感じずにはいられないほどの、人間の視線。
学校の帰り途中、道を訊ねてきた男がそのまま抱きついてきたり、人の多いところを歩けば誰のものともつかない手に触れられたり。
それがいやでたまらなくて、できるだけ男の気を引かないよう、身をまとう衣類も地味なものにしてきた。
けれどどんなに肌を隠しても、どんなに気配を殺しても、人間たちの視線は数いる女の中からぴたりとあたしを見つけ、止まるのだ。
身を守ることに集中しながらも、平凡に生きていたつもりだった。
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