1 再会

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   あわてる武田は、よほど恐ろしいのか異形の生物を凝視し手探りでキーを探す。だが、視界が伴わない動きではもたついてうまく拾えない。 「どいて! あたしが見る!」  美月の声など耳に入っていないのか、すっかり狼狽した武田は足元のキーを探しながら小さく何度も息を漏らすばかりだ。  やっている間に異形の生物が何度もフロントガラスに鉤爪をたたきつけ、一筋の亀裂が走る。それと共に小さな無数の亀裂が走り、ビシビシと音を立ながらフロントガラスが白く染まった。 「ひっ、ひぃ……何だよ、何だよこれ……!」 「馬鹿っ! しっかりしなさいよ!!」  そうしている間にも、軋む音を立てながらフロントガラスがこちらに向かってゆるやかにたわむ。 .
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