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「あたしが、何したっての……!」
頼りにするつもりもないが、あてにならない武田を思考から追いやり、美月は震える手でサイドシートを倒し後部座席に逃げる。そうしたところでフロントガラスを割られてはどうにもならないが、とにかく小鬼と距離を置きたかった。
「きゃあああ!」
「うわー!」
恐怖が極致に達した瞬間、ガラスが砕け落ちる音。
「ギャアー!」
狂気に満ちた小鬼の咆哮が響き、美月は呼吸を止めぎゅっと瞼を閉じる。
──ああ、人生が終わる時はこんなに突然来るものか──
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