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──闇の中。
還る場所をなくした魂が、その閉塞感にむせび泣く。
闇の底から男の手が伸びて、行き場のない魂をつかんだ。それは声なき叫びをあげ、ねじ切れるように霧散する。
「……バカが。憑く相手くらい選べ……」
指先にわずかに残る温もりを舐め取ると、男はうそぶいた。
「酒呑さま……」
その体に、千尋が後ろから絡みつく。
焼けつきそうな男の心を、そっと癒すように。
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