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「そう思ってるなら、余計なこと言うな」
伊織は苦笑する。まったく趣味が悪い。自分でも扱いに困る問題に、仲がいいからと言って安易に触り過ぎなんだ。
その足で本家に戻ると言って、伊織はすぐに帰った。
いつも通り部屋に訪れた静寂に、溜め息が漏れる。
──母さん、妹、鬼退治、塔子……。
決まった女に時間なんて、割いてはいられない。俺は俺の道を、行かねばならない。
それは、俺が美月と再会する1週間前の話。
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