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破滅に臨む者
ザー……。
深夜放送も終了した大きな液晶画面には、ノイズが映されている。テレビと観葉植物だけの、寒々としたフローリングの暗い部屋の真ん中に、女はいた。
薄いブランケットを肩にかけ、クッションを抱きしめたまま、女は呆然とノイズを眺めている。フローリングを踏み締める音がして、女の背後に男が立った。
「麻由。もう放送終わったよ……」
穏やかで優しい男の声には、わずかな疲れ。麻由はそれを感じ取ると、ブランケットを頭まで被った。
「隆……寒いよ」
──カミサマナンテ イナイ──
「……抱いてよ……」
クッションに顔を埋め、麻由は暗闇を見つめた。
「麻由……もう、眠ろう」
──マタアナタハ、ソウヤッテアタシカラ逃ゲル──
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