次なる舞台へ

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「お前を強くしてやる。今の何倍以上もの力にな」 「なっ!?」 アルトは声を上げた。 今まで何もアルトの人生に関わってこなかった父親が、何を言い出すのか。 それにアルトは更に怒りを覚えた。 「ふざけんじゃねぇ!テメェ、今まで俺に関わらなかったくせに、今更何だよ!」 「お前の中には、神の力が宿っている。その力を最大限呼び出すことが出来れば、俺とも戦えるくらいの力を得るだろう」 その言葉に、アルトは言葉を失った。 憎み続けているからこそ、アルトは父親の、朱雀の力をよく知っている。 闘神と呼ばれ、世界最強と言われた父親。 あまりに遠く、次元が違うなんてものではない。 そもそも生命として格が異なる。 七聖騎士も何も関係なしに、この男は既に人が敵う相手ではない。 そんな男と互角に戦える? それが本当ならば、アルトの力は何倍に上がるか想像もつかない。 「そんな理由で…」 「強くなりゃ、その時に俺を殺しにくればいい。それでどうだ?」 「何でそこまで俺にこだわる!」 アルトの言葉に、朱雀はニヤリと笑みを浮かべた。 「退屈だから」 「は?」 「俺と戦える奴なんざ、この世界にゃいねぇ。 だったら、可能性のある奴を育てるしかねぇだろう?」 「テメェ…自分の手で自分を殺す者を育てるってのか?」 「そういうことになるな」 朱雀はニッと笑って答えた。 父親が、息子に向けるような無邪気な笑顔を。
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