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私は、光ったものより田中勇樹の目になにかを感じた。
吸い込まれるようにだんだんと目が離せなくなる。
「どうかした?」
不思議そうにこちらを見てくる。
「もしかして、俺のこと知ってる?」
「いえ、ごめんなさい。過去に会ったのかもしれないけど覚えてないわ。ただ、初対面な感じが不思議としないの。」
一瞬残念そうな顔をしたような気がしたが、ニコリと笑いながらさらに話しかけてきた。
「実は俺もなんだよ。さっき俺に拍手してくれただろ。あの時お前を見て懐かしい気がしたんだ。」
「やはり私たちはどこかで会ったことがあるのかもしれないわね。」
「これからよろしくな。俺がお前をー」
そう言いかけたが田中勇樹は口を閉ざした。
俺がお前をどうしようと言うのだろう。
田中勇樹はそれ以上何も語らなかった。
このモヤモヤとした気持ちは何なのだろう。
懐かしいと同時に不安がじわじわと心の中に広がってくる。
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