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ガタンゴトン。適度の揺れが眠りを誘う。幾度もなく首がカクン、カクン、となりつつ、ウトウト、してしまう。
電車の揺れとは、どうしてこうも眠くなるのであろうか? いっそ、寝てしまえばいいのだが、何故か寝ちゃいけないと思いつつ、結局、ウトウトする。
この車両に、自分以外に若い人はいない。数人乗車しており、何れも高年齢者ばかり。
自分が乗る電車は、凄くローカルな車両である。でも、祖父の家に行くには、この電車に乗らないとならない。
これもアルバイトのためだ。今年の夏休みは、アルバイトするんだと祖父の家に行く事にしたのだ。
――ゴツン。
「――ぁぅっ~」
眠気に負けた頭は、窓ガラスに打ち付けてしまい、痛みが一瞬走り抜け、目蓋の上下をグッと閉じながらぶつけた頭を素早く撫でる。大して痛くないけど条件反射がなんとも言えない。
ん~と、口につつも、車内から見える景色を眺め、普段自分の生活から見る事が無い深緑の山々が、祖父の家が近付いて来たのを知らせてくれる。
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