6.エピローグ

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「……俺はお前に出逢った時から気付いていて、ようやく恩が返せるって嬉しく思っていたよ。 当のお前はちっとも気付いてなかったけどな」 城野内はクックと笑って、涙を流す海斗の頭を撫でた。 「海斗……生まれ変わって再びめぐり合うのは、夫婦になる為じゃない。 恩を返して因果を払うためだ」 『君、俺の仕事を手伝ってくれないか?』 そう言って歩み寄って来た先生。 先生に出会って、僕は本当に救われたんだ。 「ええ……今なら分かります。 だけど僕は、あなたの為にこの身を喰わせて、今高橋海斗として転生したことを後悔していないし、喜ばしく思っています」 そう、そして高橋海斗として生まれ変わったのは、今この時、先生と共に仕事をする必要があったのだろう。 「……だけど、今度は僕があなたに恩を返さないと。いっぱいお世話になって」 袖で涙を拭う海斗に、城野内は楽しげに微笑んだ。
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