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足を踏み入れたその村の名前は、ベル村と言うそうです。
私が建物から出てすぐにみなさんが、「ようこそ、ベル村へ!」と声を揃えて大きな声で言ってきたので、とても印象に残る村名紹介でした。
ちなみに建物を下ろした場所は、少し前に私がくると知った村にたちが空き家を取り壊して作ったとのこと。
なんかすこし変な気持ちですが、場所がないよりマシでしょう。
村人たちはとてもいい人たちです。
私が話したそうにたっていると、すぐに静かになってくれました。
どの村や町でもやっていることなので、話すことは実はテンプレートだったりしますが村人たちに気付かれなければ問題ありません。
やがて私を取り巻くたくさんの褒める言葉とともに村人は去っていき、静けさがやってきました。
しかし私の目の前にはまだ一人、人が立っていました。
「あの、何かようでしょうか?」
「は、はい、あの……」
私が声をかけるとその方は、もじもじしながら何かを話したそうにして黙ってしまいました。
なんか、既視感を覚えます。
このような出来事をすでに何度か経験しているような気がしますが、思い出せません。
私も黙って彼話すのを待っていると、ようやく話しかけてきました。
「あのっ、僕と、お付き合いしてもらえないでしょうか……?」
「……ぇ」
いきなり告白されてしまいました。
相手は見た感じ、私と同じぐらいの年でしょう。
そんな青年は顔を真っ赤にさせています。
冗談ではないよう……。
でも、私は青年を余所にこんなことを考えていました。
ああ、告白最速記録更新ですか……。
何回も告白されていますが、まだ慣れません。
私まで恥ずかしくなってきました。
この先、何回私は告白されるのでしょうか。
そんな心配しか、今はできないのでした。
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