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もちろん丁重にお断りさせて頂きました。
だって、気もない相手とお付き合いしても意味なんてありませんし、先程申した理由の通り。
青年はすこし方を落としてとぼとぼと歩いて帰っていきました。
なぜか罪悪感のような物に苛まれますが、私は別に悪くないので気にしないでおきましょう。
お店の開店は明後日で、今日中に村人のみなさんに挨拶を済ませなければなりません。
よく考えてみたら、私は寝巻きのままみなさんの前に現れていたようです。
髪も少々ボサボサで、とても挨拶にいくような格好ではありません。
私は家に戻り、いつもの服に着替えました。
指先ほどまでのおへそがでる長袖の服にミニスカートを履き、足首まではあろう長い裾の白い薄手の羽織を着ます。
髪を櫛で解かし、まっすぐにしました。
最後に杖を腰に装着したホルダーに刺したら、私のいつもの格好に早変わり(所要時間三十分)。
杖をもつ理由は、精霊たちの力を、精霊なしに使用するための物。
別に職業が精霊使いでないだけで、私自身は精霊使いなのです。
この杖さえあればたいてい何でもできますし、とても便利な道具です。
着替え終わって私はすぐに挨拶をしに向かいました。
事前にベル村の世帯数を調べたところ、現在は二十世帯ほどだとのこと。
今はちょうど昼頃で、一世帯三十分以内だとすると、真っ暗になったあたりに挨拶が全て終わる計算になります。
明日のお店の準備のことも考えると、結構ギリギリな感じ。
少しでも早く終わらせるために、私は一件目のお宅の扉をノックしたのでした。
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