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家の奥から返事をする声が聞こえ、すぐに扉の施錠を解く音が聞こえて人が出てきました。
「ああ、ライナさんですか。どうなされましたか?」
年配の方が現れました。
とても優しそうで、にこやかな表情で私に問うてきます。
「これからベル村のお世話になりますので、短い間ですがよろしくお願いします」
そう言って私は深々と頭を下げました。
当然ながら、相手は男性なのでお決まりの営業スマイルで応対。
年配の方でも男性は苦手な私。
軽く男性恐怖症になりつつある私です。
年配の男性は何か用があるのか、頑張りなさいよといってすぐに家の中へ戻っていきました。
何かと思い少し後ろに下がってみると、鍛冶屋の文字が見えました。
これは失礼なことをしてしまったような気がします。
仕事中に挨拶しに来てしまったようです。
ちゃんと看板を読んで、後から来るべきでした。
次はこのような失敗をしないよう、ちゃんと確認してから挨拶することにしましょう。
鍛冶屋の隣には畑があって、その隣には八百屋思わしき建物がありました。
建物の前に来ましたが、人の気配がしません。
次に畑の方を見てみると、遠くにせっせと働く人たちがいました。
畑を耕しているようで、これならすぐに挨拶をしにいっても良さそうな雰囲気。
とりあえず畑の横にある通路を歩いて、働いている人たちに近付きましょう。
私の足音が聞こえたのか、村人の一人が私に気付いて他の仲間に知らせているよう。
「どうぞ中へ!」と畑に入ってもいい許可を頂き、なるべく耕したであろう場所を避けながら彼らに近付きます。
近くに来て分かりましたが、四人耕している内の三人は女性でした。
見たところ、夫婦とその二人娘と言ったところでしょう。
夫婦の歳は三十代前半と言ったところで、二人娘さんの年齢は私と同じぐらいだと思われます。
八百屋には野菜が置いてあるのに家族総出で畑仕事をするのはどうかと思いましたが、レフルでそのような心配は無用なので放って起きます。
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