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翌日。
私はドタバタと走り回る足音で意識が現実へと向けられました。
普段なら小鳥の囀りが聞こえるはずの朝ですが、今朝はきゃあきゃあと騒ぐ声で目が覚めました。
私が寝ている部屋は店舗兼居間なので、移動している時や開店していない時は、私はこの部屋で過ごしています。
もちろん居間であるため、私以外、一緒に暮らしている精霊たちも自室にいないときは居間ですごすしかありません。
私より早く起きた精霊たちが朝から騒いでるようです。
「あ、ライナが起きた!」
「ライナが起きた!」
「はい、私起きました。おはようございます、二人とも」
朝から騒いでいたのは、双子の精霊でした。
最初に私が起きたと言ったのは、光の精霊シャイト。
次に言ったのは、闇の精霊ダアス。
二人とも女の子の精霊で、しかも双子だったりします。
私が暮らしている精霊はみんな女の子。
私が暮らしていた村には男の子の精霊もいたのですが、どうも私は異性が苦手なようなのでして。
いや、苦手というより、必要以上に意識してしまうのです。
異性と一緒にいると、私は冷静ではいられません。
普段の自分を保つこともできません。
同性相手なら普通に話せますけど、異性相手になると、パニックになってしまったように話せなくなってしまうのでして。
だから私は逃げるように村から旅立ちました。
一緒に旅する精霊も、女の子だけを選んで行きました。
あっ、もちろん店を開店していてお客様として異性と接する時は普通に話しますよ?
店の人間としての自分を演じているのですよ。
お客様ともろくに話せないようでは、村から旅立った意味がありませんからね。
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