道中にて

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「みなさん、おはようございます。点呼をしますので右から順番に名前を言ってください」 この朝の点呼は、毎朝みんなで話し合ったりするきっかけを作るために私が決めた日課。 精霊たちも、成長が遅いだけで一応成長しています。 今はみんな小学生のような容姿をしていますが、あと数年もすれば中学生のそれと同じになるでしょう。 毎朝コミュニケーションをとることで、彼女たちの僅かな変化にも対応できるようにするために、何年も点呼をとってきました。 私が右から順番にと言うと、精霊たちはすぐに順番に名乗り始めたようです。 「シャイト!」 「カナター」 「アスナぁ」 「……ミズナ」 「フウカ」 「ダアス!」 「はい、今日もみなさん元気なようですね。あと少ししたら村に着きますので、いつでも店が開けるように準備してくださいね」 私がそう言うと、六人は声を揃えて返事をし、倉庫へ向かっていった。 双子であるシャイトとダアス以外は、みんな違う性格をしています。 火の精霊カナタは活発で社交的。 水の精霊ミズナは大人しくて無口。 風の精霊フウカは大人びていて世話好き。 土の精霊アスナはのんびりやで面倒くさがり。 光の精霊シャイトと闇の精霊ダアスはまったく同じ性格で、無邪気で子供っぽい。 だいたい、それぞれが司る物に性格が比例しているのが、何年も暮らしてきて得た知識。 ミズナが一番わかりやすいと言えるでしょう。 中でもフウカは精霊たちのリーダーのような存在で、いつも精霊たちをまとめてくれて、とても助かっていますよ。 お姉さんのようなオーラをフウカからは感じます。 さて私もお店の準備をしますかね。 今日から準備をしないと、明後日からの開店なんてとてもできません。 村人のみなさんに挨拶を済ませ、食料を買い、店舗を準備しなければならないので、急がないと明後日にも間に合いません。からね といっても、私が今からする準備はカウンターやテーブル、椅子など店の中でくつろげるようにする準備ですから、すぐに終わるんですけどね。
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