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お客様がくつろげるスペースは中々に広くて、畳ぐらいの大きさの長机が四つほど置けます。
本当はもうちょっと置けるのですけど、椅子や通路を確保するためには四つが限界でして。
まあ、たいてい私の所にくるお客様の依頼は時間がかかるものばかりなので、四つの机と椅子が全て埋まることはないのですけどね。
念のためですよ、念のため。
大きな町に行ったときは埋まりますけどね。
料理屋も兼ねているので、昼食時と夕食時の時はたくさん埋まることも少々。
基本料理は私が全て作っているのですが、運ぶのは精霊たちに手伝ってもらいます。
もちろん本業は工房として物を作ったり修繕、復元をしながらなので、料理屋をしている時間は一時間だけ。
それでも売上はたくさんありまして、料理屋でたくさん儲けを出さないと長い間村に滞在することになり、いつまでたっても同じ場所にとどまるはめに。
遅くても二ヶ月後には旅立ちたいので、その間にたくさんの食料や材料を蓄えなければなりません。
今回の旅は長かったですから、いつもよりたくさん蓄えなければなりませんので、いつもより頑張らなければなりません。
一人で机と椅子を用意するのは中々の重労働ですが、もう慣れましたので全然平気です。準備した机にテーブルクロスを引き、小さな花を刺した花瓶を置き、それを全ての机にやった頃には、村まで残り十分ぐらいとなっていました。
ここまで村に近くまで来ていると、さすがに建物が近付いてきたのに気付かれたのか、村の入り口にはたくさんの人たちがいました。
ああ、ようやく新しい場所での短い生活が始まる。
それが楽しくて、私は村人たちに向かって窓から身を乗り出して大きく手を降りました。
すると、村人たちも手を振り返して来ました。
どこの人たちも暖かく迎えてくれます。
ここでも、楽しい生活になることを祈って、私は新しい村に建物を下ろし、恋しかった大地に足を踏み入れました。
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