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「っ…!!」 喉が萎縮してしまい、うまく声が出ない。吐き気が勢いよく込み上げくる。 何本もの黒髪が絡み合い、ゴーグルにまとわりついていた。 なんなんだ、これは。 顔を真っ青にしている翔のもとへ、血相を変えた彼の担任教師が駆け寄ってくる。 肩に、見知らぬ女子児童を乗せて。 「うわあああっ!!」 今度は精一杯叫んでいた。 その少女は乱れた長い黒髪で、スクール水着を着ていた。しかし、全身は火傷のあとに包まれていて、その首にはくっきりと、赤い手形が残されている。 まるで、両手で首を絞められたかのように。
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