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それでも睡魔は襲ってくる。
次々に黒板に書かれていく数式が、こんなにも眠りを誘うとは。
ノートをとらなくては、と思い、正面に視線を向けると、ちょうど数学教師の左にある姿があった。
子供の日に飾るような、立派な兜。全身を包む、甲冑。ところどころに、折れ曲がった矢が突き刺さり、血が滲んでいる。
それは、半透明でーーつまり、それを通して黒板が見えているーー俗に幽霊と言われる物だ。
もっというならば、<落武者>だ。
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