第二章 常々と。

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「しずく、枕取って。」 私が座って本を読んでいると、先輩が隣に座ってそう言った。 私は無言で自分の隣に置いてある小さい枕を手に取り、反対側にいる先輩に手渡す。 「ありがと。」 先輩は枕を受け取って直ぐにそう言い、ソファーに寝転んだ。 私の膝に頭を乗せて。 もう慣れたが、最初はびっくりした。本を読んでいたら、突然膝に重いものがきて、見てみれば先輩の顔がそこにあったから。 最近ではもう慣れて、普通に本を読んでいるけれど。 先輩は、意外と甘えん坊。 暇さえあれば、抱きついてくるし、人肌に触れるのが好きらしい。 可愛い先輩。 最近は、この空間の居心地が良い。 「しずく、本読まないの?」 その声にハッとして、意識を覚醒させると、先輩が下から私を見ていた。 どうやら、本を閉じたままぼーっとしていた様だ。 「……しずく?考え事?」 返事を返さない私に対して、先輩がそう言った。 「えぇ……まぁ。」 「何?その曖昧な返事。」 先輩はクスクス笑いながらそう言った。 「で?何考えてたの?」 先輩は、いたずらっ子みたいに顔を歪ませて私を見た。 「………ある人の事を少し。」 「人?……しずくの知り合い?」 そうじゃなかったら何だと言うのだろう…。 「はい。最近に知り合った人ですね。」 あなたの事ですけど。 「ふーん…。気になるの?」 先輩の顔は、みるみる内に無表情に戻っていった。 先輩は普段、私にしつこく聞いたりすることは基本しないのに…今日は一段と掘り下げて聞いてくる。 何でだ……? 「気になる……って言ったら、気になるんですかね?やっぱり。」 あれ?日本語可笑しいかな? 「俺に聞かれても、知らないよ。」 まぁ、そうですよね。
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