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「しずく、枕取って。」
私が座って本を読んでいると、先輩が隣に座ってそう言った。
私は無言で自分の隣に置いてある小さい枕を手に取り、反対側にいる先輩に手渡す。
「ありがと。」
先輩は枕を受け取って直ぐにそう言い、ソファーに寝転んだ。
私の膝に頭を乗せて。
もう慣れたが、最初はびっくりした。本を読んでいたら、突然膝に重いものがきて、見てみれば先輩の顔がそこにあったから。
最近ではもう慣れて、普通に本を読んでいるけれど。
先輩は、意外と甘えん坊。
暇さえあれば、抱きついてくるし、人肌に触れるのが好きらしい。
可愛い先輩。
最近は、この空間の居心地が良い。
「しずく、本読まないの?」
その声にハッとして、意識を覚醒させると、先輩が下から私を見ていた。
どうやら、本を閉じたままぼーっとしていた様だ。
「……しずく?考え事?」
返事を返さない私に対して、先輩がそう言った。
「えぇ……まぁ。」
「何?その曖昧な返事。」
先輩はクスクス笑いながらそう言った。
「で?何考えてたの?」
先輩は、いたずらっ子みたいに顔を歪ませて私を見た。
「………ある人の事を少し。」
「人?……しずくの知り合い?」
そうじゃなかったら何だと言うのだろう…。
「はい。最近に知り合った人ですね。」
あなたの事ですけど。
「ふーん…。気になるの?」
先輩の顔は、みるみる内に無表情に戻っていった。
先輩は普段、私にしつこく聞いたりすることは基本しないのに…今日は一段と掘り下げて聞いてくる。
何でだ……?
「気になる……って言ったら、気になるんですかね?やっぱり。」
あれ?日本語可笑しいかな?
「俺に聞かれても、知らないよ。」
まぁ、そうですよね。
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