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宿直って……警備員さんでもいるのかな?
私は宿直と書かれている扉とは別の方の扉をみた。
読書…?
不思議に思いながらも、取り敢えず開けて入ってみた。
これって不法侵入になるのかな?
なんて考えながら。
中に入ってみると、そこには沢山の本と、机と椅子。そして───
すやすやと机の上で寝ている男の人の姿があった。
まさか人がいるとは……。
私は内心びっくりしながらも、取り敢えず、部屋の中の本を物色し始めた。
昔から本は好きなので、面白そうなものはないかと本を手に取る。
下にある本は、埃まみれで触り辛かったが、この部屋にある本は比較的綺麗なものが多かった。
幾つかの本を手に取り、ぱらぱらと見ていると、
ギッ……
机が動く音がした。
反射的に振り返ると、先程まで寝ていた人が、起き上がっていた。
その人は、寝起きだからか、暫くぼーっとしていた。
不意に、バチッと目が合った。
「………誰?」
不思議そうな声。
その人は首を傾げてそう言った。
「どうも。」
取り敢えず挨拶?しておく。
「……どーも。」
男の人も返事を返してくれた。
…………
沈黙が場を包む。
「で?……誰?」
男の人が再びそう言った。
「あ、私……心理学部の一年で、和野(ワノ)しずくと言います。」
多分先輩だろうから、お辞儀しておく。
「あー……俺は、情報工学部の二年で、相上(アイウエ)涙(ルイ)って名前。」
男の人──基、相上先輩がダルそうにそう言った。
「相上先輩、と読んでも良いですか?」
私は許可も無しに名前を呼ばれるのがあまり好きではないので、相手にも確認を取る。
「……涙、でいーよ。相上って言いにくいでしょ?」
「では、お言葉に甘えて……。涙先輩は、此処で何してたんですか?」
「寝てた。」
スパッと、先輩は即答で答えた。
「此処って、なんの部屋なんですか?」
「サークルの部室。」
又もや即答。
でも、簡潔に答えてくれる人は好きである。
「サークルって…」
「扉に書いてあるよ。
読書サークル
って。」
先輩はそう言って、扉を指差した。その指に従って扉を見てみると、表の字よりはっきりとした字で、
読書サークル
と、書いてあった。
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