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「で?えーっと……」
「しずくで構いませんよ。」
「じゃあ、遠慮なく。しずくは、何で此処にいるの?」
それもそうだ。
先輩からしたら、こんな見つかりにくい部室に、なんで見知らぬ女が居るんだ?って感じだろう。
私は先輩に此処に着いた経緯を話した。
「ふ~ん…。」
先輩は生返事を返して来た。興味ないですか、やっぱり。
「ところで先輩。」
私がそう聞けば、
「なんだい後輩。」
と、返してくれた。
案外ノリの良い人だ。
「読書サークルってまんまの意味ですか?」
「うん。読書する為の集まり。」
まんまだ。
「先輩、1人ですか?」
「うん。他は名前だけ貸してくれてる幽霊部員。」
成る程。
と、言うことは…このサークルは人が殆ど居ない上に、好きなだけ本が読める、と。
最高じゃないか。
よし、入ろう。
「先輩、私、読書サークル入ります。」
「中々に急だね。新入部員は歓迎するけど。」
歓迎してくれるんだ。
「好きな時に来ていいんですか?」
「うん。好きな時に来て、好きな事して、好きな時に帰る。規則は、本と旧館を大切に扱うこと。それだけ。分かった?」
「はい。分かりました。」
基本的に自由ってことですね。私が頷くと、
「これからよろしく。」
先輩がそう言って、小さく笑った気がした。
「よろしくお願いします。」
偶々に
出会ったけれど
此処からの時間が
きっと一番
楽しかった
……
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