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「ああ任せろ、てことはもう行くのか。」 少し驚いたようにも見える表情にも見向きもせず教室の出入り口に向かう。 「ああ。また来るよ。課題の邪魔だろうし。」 「あーあ。手伝ってくれないのかあ、昔のライバルさんは。」 そんなこと思ってもないくせに、と心のなかで笑ってやる。 「もし、手伝うって言ってもなんだかんだ聞かないだろ?」 昔からのライバルさんはこいつをよく知っている。からこそ気兼ねなく話もする。 「そのとおり。祐介。」 「何?」 「本当にいいんだな。バスケ、やめて。」 声色が変わって、景色が一変したかのようで。 そんな人の心の奥にずけずけ入り込めるやつ、そうそう居ないさ。 だから、こいつと話すのは嫌いじゃない。 「ああ。もう、終わったんだよ。俺は。」 その話を彼にはしていなかった。 というかほとんどの部員には顧問からしか聞かされていないのだろう。 そのころ俺は、まだ入院していた。 「そうか、お前からその言葉を聞けて、やっとモヤモヤが晴れた。」 そういうところ、しっかりしているな。自然とため息が出る。 だからといって問い詰めたり、こちらから説明したりそんなことをしない距離感は好きだったりもする。 「こんなこと言おうと思わなかったんだけど。」 こいつには決して重りにはならないだろうと、そう確信できる。 「何?」 「俺の分まで頼むよ。じゃあな。」 伝わる言葉を手短にする。 「いやだね。お断りだ。」 背を向けた俺へと、その願いは返ってきた。
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