002

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   流来は、すぐに大ダコ入りのたこ焼きを一口で頬張った。よく火傷しないものだと祐輔は思う。 「なあ。日真理はどうする?」  面をかぶった日真理を気遣って祐輔が声をかける。 「私はいらないから、祐輔が食べて」  日真理はたこ焼きのパックを祐輔の方に押しやる。 「願い事叶うといいな」  日真理が呟いた。  参道から届く光を浴びて、狐の面が物悲しげに浮き上がって見える。 「お前。泣いてるの」  祐輔には、面の下に隠れた日真理の頬を涙が伝っているように思えた。 「牛乳うどんのバカ。目にごみが入ったんだ」  日真理はお面を少し持ち上げるとハンカチで目を拭う。そのとき、東の夜空に花火が上がった。 「わあ、綺麗」  爽がうっとりとした目で見上げる。 「巻き藁が奉納されるぞ」  流来は口元についたたこ焼きのタレを指で拭い取りながら言う。 「よし。見に行こう!」  流来の声に弾かれるように四人は立ち上がった。  巻き藁の周りには、大勢の人が集まっていた。 .
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