004

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   陽は陰っていて、木々の間から涼しい風が吹き込んでくる。辺りはしんと静まり返っていて、ときおり飛び立つ虫の羽音だけが妙に忙しげに聞こえた。 (ここは本当に現世なのだろうか)  そのとき階段の上から、砂利を踏み散らすような音が聞こえた。祐輔は息を切らして階段を駆け上る。すると赤い(やしろ)の石段に、狐が一匹ちょこんと腰掛けていた。 「うどん。びっくりした?」  「何だあ。日真理だったのか」  日真理は、狐の面を外すと指で髪を()く。 「ドキドキした方が来たかいあるでしょ」 「本気で日真理が迷子になったと思ったよ」 「うどんって騙されやすいのね」 .
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