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   祐輔はこれまでの出来事を思い出す。  路地裏で、久我が日真理に『(あかし)』を付けたこと。その代わりに祐輔と日真理を引き合わせる約束をしたこと。約束通り、久我に連れられて日真理と初めて会ったこと。  二回の夜中のデート。デートなんてものじゃなかったが。  そして突然のキス。  ……  祐輔のには、ものごとが出来すぎているように思えた。  まるでおとぎ話のよう。 「何ぼっとしてるんだ。祐輔は七夕祭に日真理と会うんだったよな。いいか、俺にいい考えがある」  流来は俺の耳に口を寄せる。 「……七夕にダブルデートしよう。俺は爽を連れていくから、祐輔は日真理を連れて来いよ」 「そんなの無理に決まってるだろ。日真理が承諾するはずがない」 「断られてもともと。試しに誘ってみろよ」    祐輔はゴクリと生唾を飲み込みながら頷いた。 .
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